■ 第13回 トロッタの会

濡れている鹿の目は
何を見た
太古の森を映して
漆黒に光り
ひるがえす身の行く手に
人はなし
木霊の息が満ちている
数え切れない歳月に
生きて死ぬ
獣たちよ永遠(とわ)に


2011年5月29日(日)18時30分開演 18時開場

会場・早稲田奉仕園 スコットホール


ロルカのカンシオネス [スペインの歌] I - IV
採譜と曲/フェデリコ=ガルシア・ロルカ 編曲/今井重幸〉
「アンダ・ハレオ」「トランプの王様」「18世紀のセビジャーナス」「ラ・タララ」
詩唱/木部与巴仁 ギター/萩野谷英成 弦楽四重奏/田口薫、中村征良、仁科拓也、小島遼子 フルート/八木ちはる

「都市の肖像」第四集 《首都彷徨 硝子(ガラス)の祈り》 op.51より
【初演】
I.東京地下創世記 II.摩天楼彷徨 III.硝子(ガラス)の祈り
〈作曲 橘川琢/詩 木部与巴仁〉
ソプラノ*大久保 詩唱*木部 ヴァイオリン*戸塚 ヴィオラ*仁科 ピアノ*森川 花*上野

混声四部とピアノのための「北方譚詩 第二番」 一.運河の町 二.森と海への頌歌 【初演】
〈作曲 堀井友徳/詩 木部与巴仁〉
ソプラノ/柳珠里 アルト/青木希衣子 テノール/根岸一郎 バス/白岩洵 ピアノ/徳田絵里子

MOVEMENT an extra 木部与巴仁「亂譜外傳・儀式」に依る【初演】
MOVEMENT an extra(poem by KIBE Yohani "RAN-FU"an extra canonical, The Rite of Hooakha Huchy Tribes)for 2Voices,Bassoon,3Conga-drums and Piano
〈作曲 田中修一/詩 木部与巴仁〉
ソプラノ/赤羽佐東子 詩唱/木部与巴仁 ファゴット/平昌子 打楽器/大場章裕 ピアノ/森川あづさ

ヴァイオリン独奏、打楽器とピアノのための『協奏風狂詩曲』【1948】
〈作曲 伊福部昭/編曲 今井重幸〉
ヴァイオリン*戸塚 打楽器*目等 ピアノ*徳田

《ヒトの謝肉祭》第一番のために 【初演】
〈作曲 清道洋一/詩 木部与巴仁〉
詩唱/木部与巴仁 演者/中川博正 ギター/萩野谷英成 弦楽四重奏/田口薫、中村征良、仁科拓也、小島遼子

バリトン独唱、合唱と室内楽のためのカンタータ『叙事詩断章・草迷宮』【2003/2011】
〈作曲 今井重幸/詩 まんじ敏幸〉
バリトン/根岸一郎 女声合唱/赤羽佐東子、大久保雅代、柳珠里、青木希衣子 フルート/八木ちはる、田部元太 ファゴット/平昌子 弦楽四重奏/田口薫、中村征良、仁科拓也、小島遼子 打楽器/大場章裕、目等貴士 ピアノ/徳田絵里子

たびだち・北の町【2010/2011】
〈作曲 宮崎文香/編作 田中修一/詩 木部与巴仁)
お客様とともに、出演者全員の合唱・合奏 ピアノ*森川





*第十三回「トロッタの会」で用いられる全詩です。作曲者の意図などにより、詩と音楽に相違する場合がありますことをご了承ください。

ロルカのカンシオネス [スペインの歌] I - IV

「Anda Jaleo アンダ、ハレオ」

Yo me alivie a un pino verde
おれは緑の松にのぼったよ
por ver si la divisaba.
あの娘が遠くに見えないかって
y solo divise el polvo
ところが見えたのは砂ぼこり
del coche que la llevaba.
あの娘を連れていく車の、さ

Anda jaleo,jaleo;
アンダ・ハレオ、ハレオ!
ya se acabo el alboroto
お祭り騒ぎはもう止めだ!
y vamos al tiroteo.
今度は撃ち合いの始まりさ

No salagas,paloma,al campo,
鳩よ野原なんかにゃ飛び立つな
mira que soy cazador.
見てみな、おいらは鉄砲打ちだ
mira que soy cazador.
見てみな、おいらは鉄砲打ちだ
y si te tiro y te mato
お前を撃って殺したら
para mi sera el dolor.
おいらは辛いことこの上ない
para mi sera el quebranto.
おいらは苦しいことこの上ない

Anda jaleo,jaleo;
アンダ・ハレオ、ハレオ!
ya se acabo el alboroto
お祭り騒ぎはもう止めだ!
y vamos al tiroteo.
今度は撃ち合いの始まりさ

En la calle de los Muros
ムロス通りで
han matado una paloma.
一羽の鳩が殺されちまった
Yo cortare con mis manos
おいらがこの手で摘んでやる
las flores de su corona.
冠の花という花を

Anda jaleo,jaleo;
アンダ・ハレオ、ハレオ!
ya se acabo el alboroto
お祭り騒ぎはもう止めだ!
y vamos al tiroteo.
今度は撃ち合いの始まりさ


「Los Reyes de la Baraja トランプの王様」

Si tu madre quiere un rey,
お前の母さんもしも王様ほしいなら
la baraja tiene cuatro:
トランプにゃ四人もいるよ
rey de oros,rey de copas,
金貨王様に 聖杯王
rey de espadas,rey de bastos.
剣の王に 棍棒王

Corre que te pillo,
逃げなよ 捕まえろ
corre que te agarro,
逃げなよ 押さえこめ
mira que te lleno
お前さんの面を
la cara de barro.
泥だらけにしてやろう

De olive me retiro,
オリーブからはオリてやる
del esparto yo me aparto,
イグサからは行くのさ
del sarmiento me arrepiento
葡萄の蔓は残念至極
de haberte querido tando.
おいらはお前に惚れすぎた


「Sevillanas del siglo XVIII 18世紀のセビジャーナス」

I

Viva Sevilla!
ビバ! セビージャ
Llevan las sevillanas
セビージャの女たちは
en la mantilla
マンティージャに
un letrero que dice:
こんな文字を縫いつける
Viva Sevilla!
ビバ! セビージャ

Viva Triana!
ビバ! トゥリアーナ
Vivan los trianeros,
ビバ! トゥリアーナの人たち
los de Triana!
トゥリアーナに住む人たち
Vivan los sevillanos
ビバ! セビージャの男たち
y sevillanas!
女たちも!

II

Lo traigo andado:
おれはいろんなところを歩いてきたさ
la Macarena y todo
マカレーナの聖母様よ
lo traigo andado:
おれはいろんなところを歩いてきたさ

Lo traigo andado:
おれはいろんなところを歩いてきたさ
cara como la tuya
ところがあなたほどのお顔には
no la he encontrado:
とうとうお目にかからなかった
la Macarena y todo
マカレーナの聖母様よ
lo traigo andado.
おれはいろんなところを歩いてきた

III

Ay rio de Sevilla.
ああ、セビージャの川
que bien pareces!
何てすばらしい光景だ!
lleno de velas blancas
白い帆に満ちて
y ramas verdes.
緑の枝に満ちて


「La Tarara ラ・タララ」

La Tarara,si;
ラ・タララ そうだよ
La Tarara,no;
ラ・タララ いいや
La Tarara,nina,
ラ・タララ お嬢ちゃん
que la he visto yo.
おいらは見たよ

Lleva mi Tarara
おいらのタララは
un vestido verde
緑の服に
lleno de volantes
フリルと鈴を
y de cascabeles.
いっぱいつけてら

La Tarara,si;
ラ・タララ そうだよ
La Tarara,no;
ラ・タララ いいや
La Tarara,nina,
ラ・タララ お嬢ちゃん
que la he visto yo.
おいらは見たよ

Luce mi Tarara
おいらのタララは
su cola de seda
絹の裾を
sobre las retamas
エニシダとハッカの上で
y la hierbabuena.
翻すのさ

Ay,Tarara loca.
そうとも タララよ いかれたお前
Mueve la cintura
腰をふりふり
para los muchachos
オリーブ摘みの野郎らに
de las aceitunas.
見せていやがる



「都市の肖像」第四集 《首都彷徨 硝子(ガラス)の祈り》
「ぼくたちはどこまでも河をくだる」

I.

雨が降っていました。
灰色の重たい雲が、空を覆っています。
桟橋に、傘をさした男の子と女の子がいました。
小さな舟が、風と波に揺れています。
二人はこれから、大きな大きな、河をくだるのです。
「舟が出るよお」
誰かの声が、風に千切れて飛びました。
男の子と女の子は、手をつないで舟に乗りました。
その時、大きな波が押し寄せて、ふたりを揺さぶりました。
黒い合羽を着た、顔の見えない人が立ち上がりました。
長い竿を使って舟を押し出します。
波にもまれながら、舟はゆっくりと岸を離れてゆきました。

II.

空と河しか見えません。
陸(おか)はどこにもないのです。
海のように広い河でした。
男の子も女の子も口をききませんでした。
波しぶきを上げる魚の群れが見えました。
「あれは、海豚だよ」
舟を漕ぐ人が教えてくれました。
ものすごい数の海豚が、鳴きながら泳いで行きます。
緑色の光が見えました。
「灯台だよ。舟がぶつからないように」
風に乗って歌声が聴こえて来ます。
たくさんの人を乗せた舟が、波の合間に現れました。
小さな舟から、人がこぼれそうになっています。
「巡礼さんだよ、お参りの帰り道だよ」
何をお参りしたのだろう。
男の子は思いながら、女の子を見ました。
女の子は黙ったまま、巡礼を見送っていました。

III.

大きな波や小さな波が渦を巻いています。
波はあちこちでぶつかり合い、身を寄せ合っていました。
隙を見て追い越したり、身じろぎしています。
取り澄ましたかと思うと、恥ずかしがりもします。
こんなにたくさんの波を見たのは初めてでした。
「気をつけて。もうすぐ潜るから」
舟を漕ぐ人がいいました。
こんな広い河の、どこに潜るというのだろう。
ぼくは溺れてしまう。
男の子は心配になって、女の子を見ました。
「お母さんに会えるの、お母さんに会えるの」
女の子はそうつぶやくだけでした。
「御覧、三角島だよ」
何本もの塔が波の上に突き出ていました。
「水の底に町がある。大きな町が沈んでいる」
舟を漕ぐ人は合羽の頭巾を取りました。
それは髪の長い、女の人でした

IV.

ごおごおと音がして舟が揺れ始めました。
男の子と女の子も頭から合羽をかぶりました。
「しっかりつかまって!」
女の人が叫びました。
あたりの波が空を隠すほど盛り上がっていきます。
呑みこまれると思い、ふたりはぎゅっと目を閉じました。
でも、そうではなかったのです。
目を開けると、舟はぐんぐん河の坂道を下りていました。
合羽も役には立ちません。
ものすごい風と波飛沫で二人ともびしょ濡れです。
舟は木の葉のようにもみくちゃになりました。
ぬらりとした魚の背中を超えました。
大きな瀧が落ちていました。
遠くで火の手が上がっていました。
暗い空からたくさんの流れ星が河に落ちていきました。
この坂道はどこまで続くのだろう。
ぼくたちはどこまで落ちてゆくのだろう。
そばを見ると、女の子はもういませんでした。
後ろを見ると舟を漕ぐ女の人もいませんでした。
目を開けていられませんでした。
男の子は舟底にうずくまったままでした。
そうして、何もわからなくなりました。

気がつくと、あたりは一面の星空でした。
何の音もしません。
男の子は舟に乗ったまま、夜の空に浮かんでいました。



混声四部とピアノのための「北方譚詩 第二番」
一.運河の町 二.森と海への頌歌


「運河の町」

消えてしまった運河に
冷たい時間が眠っている
覚えていてほしい
降る雪に凍え
かじかむ手を暖めながら
あなたと私が
立っていた
白い町
白い光景

行くあてもないまま
運河を見たくて
その日しか逢えなかったから
私たちは約束した
消えてゆく運河を見ようと
朽ちかけた船が
傾いている
容赦のない姿に
あなたも私も声をなくした

月が運河に落ちている
覚えているよ
あなたの
小さな声を
滑りながら駈けてゆく
黒い影になり
運河にかかる橋へ
思い出
何もかも
運河の町に置いてきた
私たちの思い出


「森と海への頌歌」

濡れている鹿の目は
何を見た
太古の森を映して
漆黒に光り
ひるがえす身の行く手に
人はなし
木霊(こだま)の息が満ちている
数え切れない歳月に
生きて死ぬ
獣たちよ永遠(とわ)に

濡れている海豹(あざらし)の目は
人を見た
海と陸(おか)に別れて暮らす
はらからよ
言葉がもしも通うなら
見たもの
聞いたものを語らおう
蒼(あお)果てしない海底(うなぞこ)で
われは待つ
踊りながら揺れて

濡れている人の目は
風を見た
そびえる崖に立ちながら
時間(とき)の流れに思いを馳せて
いにしえは今
今もいにしえ
生命(いのち)は絶えることなしに
はるかな空へ続いてゆく
響けよ歌
名も知らぬこの土地で
生まれ変わるものたちのため



「MOVEMENT an extra 亂譜外傳・儀式」

焼けた風に
波打際を駈けてゆくものは
ヒトではなかった

色づゐた實の
赤さにまさる緋の肌 (はだへ)
健やかに微笑むものは
ヒトではなかった

火の山の下(もと)
死の果てに生まれた生命(いのち)
原生の密林に
奥深く棲むといふ
ハナアルキ

雨が降る
泣きながら
風が吹く
呼びながら
嵐が來る
沈黙して

風はなく聲もなく
氣配も息吹も消したまま
ハナアルキが舞ってゐる
天はビロード
稲妻に引き裂かれ
ほとばしる血の滴(しづく)
あざやかに
あざやかに あざやかに横たはる情念
無惨
愛の力は喪失し
路傍の頚木(くびき)に
一對の生き物が
縛られた
逃れられないのだから
棄ててしまへないのだから
終わりは何處にもないのだから
聴け
ハナアルキの歌聲を
それは燃えながら凍りつき
宇宙に向かって立ち盡くす



《ヒトの謝肉祭》第一番のために

■革命家
最も小さい種類のヒトで、熱帯から亜熱帯の森林に生息します。
冬眠はしませんが、メスは出産時に巣穴にこもります。
雑食性で木の芽や葉、果実などを食べ、前あしのかぎ爪で他人の巣をこわす癖があります。

■旅人
日本固有種で、1921年に天然記念物指定。雑食性で、木の実や果物類、昆虫類やトカゲなどを食べます。
現在の旅人は、約700人しかいません。(社)日本動物園水族館協会では、旅人を国内血統登録種に選定しました。将来的に日本の動物園全体で旅人100人の飼育を目指していきます。

■大家
大家と家主は夜の動物と思われていますが、超音波で物を認識する家主と違い、大家は目でものを見るため、夜中は意外と動きません。多くは森林に住んでいますが、沖縄県那覇市国際通りのような街中でも見られます。
大家は日中、日当たりのよい枝にぶら下がり、翼を広げて日光浴をします。
主に果物を食べます。

■ストリッパー
ストリッパーは北アルプスの高山帯にのみ生息しています。昔は中央アルプスにも生息していましたが、現在は絶滅していません。
日本のストリッパーは特別天然記念物で、環境省の「レッドデータブック」では絶滅の危機が増大している「絶滅危惧種II類」に指定されています。

■電話交換手
昼行性で、他のヒトに比べ多くの時間を地上ですごします。果実、葉、花、樹皮、樹液、無脊椎動物などを食べます。
においづけによって縄張りを主張する臭腺から出る分泌液を尾につけ、それを振って強さを競います。



バリトン独唱、合唱と室内楽のためのカンタータ『叙事詩断章・草迷宮』

鎮守の森のてっぺんから
烏天狗が舞い下りて
赤いおべべの娘が二人
手毬をついて 鞠ついて
一つとせ ……
二つとせ …… 三っつとせ …… 四っつとせ
烟(けむり)のように烟の
昏(くら)い空へとかき消えた。

風が厳かに言った。
「お前は寄る辺ない漂泊者(さすらいびと)
憩(やす)らわぬ巡礼だ」

野のはずれ
花々はパントマイムのようにこぼれ
小川のせせらぎがひとりで
淋しげに手毬をついている

今日、否(いや)、遠い昔の事
あなたの長い髪が
私を抱いた。

笑い声が部屋に射し
熱い涙が
私の頬を濡らした。

昨日、否、いつのことか
眠りは冷たい潮に満ち
夜明けは埋葬されてしまった。
空虚(うつろ)な国を
過ぎる者は
誰もいない。

あなたの声が天空(てん)から谺した。
「おいでなさい愛しい人よ
私はここ、鏡の中にいます」

嗚呼、遥か沖の彼方
運命(さだめ)と意思が
船のようにすれ違うとも
私は行かねばならぬ
二人を隔てる海峡が
いかに激しくふかくとも

通りゃんせ 通りゃんせ
ここは何処の細道じゃ……。
……。

天神様の細道じゃ……。

不意に日が翳(かげ)る。

野菊が蒼ざめ身震いした。

カラスが赫い口で脅した。

「もう何処へも行けぬ。
死者の足音が盗人(ぬすびと)のように
お前に寄り添っている」

霧が足許で囁いた。

「この道を通るのは亡霊ばかり
ほら、ごらん
悪い噂が向こうの角を曲がり
盲(めし)いた犬が自分の死の影に
吠えている」

りんどうが私を難詰(なじ)った。

「私の首を折ったのはおまえさ!
死のコルクを抜いてしまったのもおまえだ」

誰かが声もなく泣いている
戸のすき間からこちらを窺っているのは
顔のない男だ。

私の心臓を啖(くら)っちまったのは
誰だ!
誰だ! 私を嗤うのは。

おお、見るがいい

山から魔物が降りて来る
野原もざわざわ叫びだし
あたりいちめん
あたりいちめん
青い鬼火が跳ね廻る。
狐が踊り
鬼が笛吹き
蛇(じゃ)が走る。

空が落ちる 海が燃える
ほう、火の玉も来い!
黄泉(よみ)の帳(とばり)も降りて来い!
……。
……。
嗚呼、暗い谷間で手を振るおまえ
おん身、私の愛よ
……。
そこを退(ど)け、亡者ども
時が逃げる
行かねばならぬ
いかねばならぬ

行くてを空けろ
さあ、開けろ!
……。
通りゃんせ 通りゃんせ
ここは何処の細道じゃ
細道じゃ……。
天神様の細道じゃ。

帳(とばり)を剥せ!
私を通せ!
さあ、開けろ! 開けろ!

通りゃんせ 通りゃんせ
ここは何処の細道じゃ
細道じゃ……。




たびだち・北の町

星が見たもの
それは人
遠い町で
泣いてた
星が見たもの
それは人
遠い町で
泣いていた

消えた町
流れた町
何もかもなくした
思い出も

声もない
悲しみに
眠れない
とき過ごす
面影を追いながら

星が見たもの
それは人
時が経ち時が過ぎ
耳をすませて
星は聴く
歌ってる小さな声で
取り戻す歌声と
微笑みと優しさと
声を合わせて歌う時
灯はともる
北の町に